大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2050号 判決

刑法第二百五十八条に謂うところの公務所の用に供する文書とは公務所において使用の目的を以て保管する文書の謂であつてその作成者が公務員たると私人たるを問わず又その作成の目的が公務所のためにすると私人のためにするとを区別せず現に公務所において使用する文書を汎称するものであるところ本件記録編綴の大蔵事務官阿部芳夫作成の昭和二十四年十一月十九日附差押目録、被告人の検事に対する昭和二十五年十一月二十二日附供述調書、大蔵事務官殿内政雄同阿部芳夫共同作成名義の犯則事件取調顛末書謄本、殿内政雄の検事に対する昭和二十五年十一月二十二日附第一回供述調書中の各記載に原審第二回公判調書中の被告人の供述として「携帯簿は十一月十九日家宅捜索を受けた際に持つていかれたが令状を示し家宅捜索をした上帳簿を持つていつた」の記載を綜合して考えれば本件の出張携帯簿三冊は昭和二十四年十一月十九日巻税務署収税官吏大蔵事務官殿内政雄同阿部芳夫が本件取引高税違反被疑事件につき被告人方において被告人立会の上巻簡易裁判所裁判官の発布した捜索差押状を被告人に示して適法に差押えた上他の書類と共に風呂敷包一個となし要部に封印一ケ所を施し被告人から保管証を徴した上同人にこれが保管を命じたものであること明らかであるから原審において裁判官の発した捜索状差押状の証拠調がなされなかつたという一事を以て本件帳簿の差押が適法に執行されたものではないと認めることはできないし又所論の如く仮に差押状を執行した者が刑事訴訟法第百二十条所定の目録を被告人に交付しなかつたとしてもかくの如きは差押の効力自体にはなんら影響を及ぼすものではないといわなければならない。従つて本件出張携帯簿は本来は被告人が自己のために作成したものであつても昭和二十四年十一月十九日証拠物として適法に公務所である巻税務署の管理に入り次いで本件犯行当時たる同二十五年十一月二十日当時においては新潟地方検察庁の管理に入つていたものと認むべきであるから公務所において現に使用の目的を以て保管する文書たること極めて明白である。

それゆえ論旨は理由がない。

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